写真 | 説明 |
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ある日、オークションでよさそうなハープが適価ででていました。そのハープは運良く適価のまま落札でき、小坂のもとに届きました。 わくわくする一瞬。届いたハープの梱包を解き、ハープを見てみると思った以上によく一安心。 持ってみると想像以上に重く、たたいた感じもつくりの頑丈さを感じさせます。あー、これがこのハープの運命を決めた一瞬でした。 「よし、これだったら、72弦にしても大丈夫そうだ。」 ということで、めでたく、このハープは72弦化改造対象となったのでした。 |
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改造部品の一部。チューニングピン。ストリングガイドピン用釘、エンドピン用釘。 ストリングガイドピン用釘は銅にしました。これは、他の職人ハープでも使っていて音によさそうなので。 エンドピン用釘はステンレスにしました。弦の張力耐えられるように。 両方の釘の太さは、実物を参考に目分で決めました(自分の場合、こういうように適当に決めることが多い)。 |
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この日のために買っておいたチューニングピン。オートハープ専用ではなく、チターぴんとして売っています。 上側はレンチ穴に合わせて四角くなっています。下半分は、よく見るとわかりますが、ねじがきってあり、少しテーパー(角度)になっています。 新しいチューニングピンは、弦を通す穴にバリが出ていることがあるので、かどを削って滑らかにしておきます。 |
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エンドピンブロックです。エンドピンをどこにするか決めます。 ちなみに、クロマハープの弦は片方の端がループだけではなくハトメも使ってあります。 この写真を見てわかるように、エンドピンは1本おきにジグザグになっています。これは、弦の張力に耐えるためにこのようにしているのです。もし、これが直線状に並んでいると、ちょうど、楔を打つようになってしまいます(と書いているのは後からわかったことなんですが…)。 |
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こちらはチューニングピン側。 うーん、どうやって無理なく穴の配置をしようか??? |
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あける穴は下穴も含めて36×(チューニングピン+エンドピン+ガイドピン)=108穴 手持ちの工具はこのハンドドリル。いったいこれで大丈夫なのか??? あ、ピンバイスもありました。 |
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なぜに「チタンコーティングドリルセット」??? まあ、硬いからいいでしょう!? |
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エンドピン、ガイドピンは釘を釘きりで切って作ります。 全部で72本。 |
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エンドピン用の釘はステンレス。ステンレスは硬い。釘きりで切ろうとすると一息では絶対無理。 ということで、少しづつ、まわしながら切っていきます。 |
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こっちはストリングガイドピン。銅製なのでエンドピンに比べると楽勝!!! |
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といいながら、作業完了時には結局のように手にまめができてしまいました。 |
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エンドピンは抜けることは考えなくて良いので、下穴は釘と同じ位の径でOKです。 下穴をあけたら、きってあったエンドピン釘を打っていきます。ここで注意したのは、あまり強く打たないこと。 エンドピンを直線状に配置したので、強く打つと、何本も打つと楔のような効果になりエンドピンブロックが割れてしまう可能性があるからです。 |
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といいながら、結局、採取的にエンドピンブロックにわれが入ってしまいました。 もう少し、慎重に検討すればよかった。 結局、このまま弦を張ったら、エンドピンブロックの割れがおおきくなり、エンドピンブロックをもっと下のほうに打ち直すことになりました(元の穴には爪楊枝に接着剤をぬって差込み、割れた部分にも接着剤を塗りこみました)。 しかし、配置を直線状にしたため、また、エンドピンブロックに割れが入りました。しかし、エンドピンブロックはサイドブロックとほぞ組してあるため、割れは大きくならないだろうと予想して、打ち直しはしてありません。 教訓:エンドピンは直線状ではなく、スペースが許せばオリジナルのようにジグザグに配置し、できるだけエンドピンブロックの下のほうにするのが良いでしょう。 |
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さて、こんどはストリングガイドピンです。 ストリングガイドピンも釘の径とほぼ同じ径の下穴を開けます。下穴あけは精度が必要なのでピンバイスで行いました。 その後、下穴をあけて、弦の横張力に負けない程度に打ち込みます。 |
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全部の下穴が開け終わったら、ガイドピンを打っていきます。 |
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ガイドピンは短いので、ラジオペンチで持って打ちます。 |
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全部のガイドピンを打ち終わりました。 しかし、これは、ピンの頭が釘きりで切りっぱなしの鋭いままです。 |
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72弦化の下半分を完了したとことろの全景です。エンドピンカバーは作業のために取ってあります。 |
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エンドピンブロックの部分です。 エンドピンがきれいに一列に…これじゃぁあだめだったんですね、ハイ。直線状に並べると、楔効果でエンドピンが割れちゃうのです。 |
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上に書いたように、ピンの頭が釘きりで切りっぱなしの鋭いままですと演奏時に怪我をしてしまいまので、革加工で使う丸ポンチ(頭が球凹で都合が良い)で滑らかにします。 写真ではわかりずらいかもしれませんが、ピンの頭の鋭さがなくなっています。 |
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今度はチューニングピンの追加です。 |
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下穴あけの位置を記すためガムテープを貼り、さすがに目分量ではまずそうなので糸で弦張り後の状態を模しながら穴あけ位置を決めていきました。 斜め部分は直線上に穴あけ位置が並んでいます。 |
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チューニングピンブロック部分=横並び部分では、ジグザグに穴あけ位置が並んでいます。 |
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下穴は2段階で行うことにしました。これは、チューニングピンが斜めにする必要があるためです。 まずはピンバイスにて小径2mmΦを他のチューニングピンと同じ角度になるようあけていきます。 |
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下穴開け1段階の中くらいです。 |
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下穴開け1段階の完了。 |
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チューニングピンは5mmΦです。下穴第2段階はチューニングピンにあわせて4.5mmΦをあけるため、ドリルの刃に深さの目安をガムテープでつけます。 この段階では、写真にはなかったですが今回のために購入した電動ドライバドリルを用いました。 |
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調子よく穴あけをしていたらなんとドリルの刃がおれてしまいましたぁぁぁ…かなしいぃ… |
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そこで登場したのが、「チタンコーティング」です。備えあれば憂いなし。 ★ここからはそのまま作業を進めて弦張りです。弦張りの記録は無いので、次はチューニングピンの修正です。 |
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チューニングピンの穴あけでいくつかの不良(傾きが良くない)が出てしまいました。 中でも一番のミスがこれ。完璧に傾きがおかしいです。これでは隣のピンとぶつかってチューニングができません。 |
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ピンを抜いて穴を見てみると、下穴の位置も悪いです。 |
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チューニングピン穴の修正は、下穴より太い径の穴を開け、そこに丸棒をつめ、正しく下穴を開けなおすことにより行います。 今回はチークの10mmΦの丸棒を用いることにしました。写真ではこの丸棒のための穴を開けています。穴の径はたしか8mmΦ。 |
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このために、木工用のドリル歯を購入しました。 |
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丸棒をさしたところ。今後、この出っ張りを切って、チューニングピンの下穴の開け直しをしました。 ★これで弦張りまで完了。しかし、穴あけ修正した部分のチューニング緩みが発生しました。最初の修正で使ったチーク(10mmΦ丸棒)は油性の材料なので堅いがすべるということがわかりました。 そこで手持ちのラミン(8mmΦ)使うことにしました。 |
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さて、今度は15コード→21コード改造です。21コード化は例の粗悪21コード変換キットを使用します。 まずは、もともと付いていたコードバーをそっくり取り外します。 |
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コードバーコーム取り付け位置きめをしています。 あとで判明しますが、このようにきちんと位置きめをしてもこのキットでは修正加工が必要になるのです。だから、粗悪キットなのです。 |
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よく注意してみるとわかるのですが、コードバーのガイド切り欠きが長いことがわかるでしょうか??? コードバーカバーにL字アングルを取り付けてコードバーコーム位置を決めたのにもかかわらず、コードバーのガイド穴はコームの歯にあわず、コームにあわせて全コードバーを修正加工しました。 |
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いく種類かの修正加工をしてやっと21コード化し、チューニングです。 とりあえず改造はひととおり完了したのですが、チューニングピンの緩みを直す必要がありましたね。 |
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まずは問題箇所のチューニングピンを抜いてしまいます。 |
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抜いた跡です。すでに一度修正されていることがわかります。 |
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まずは穴あけ。 |
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とりあえず修正丸棒用の下穴7mmΦは良い具合に開けることができました。 |
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これにラミンを入れて接着し… |
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出っ張りを削って… |
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新たに購入したリューター用のやすりでさらに出っ張りを削って平らにします。 |
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もっと平らに… |
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拡大するとかんな感じです。 |
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出っ張りはほとんどなくなりました。 |
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マジックインキで塗装(ごまかしともいう)をして… |
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修正用下穴の下穴をあけて… |
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二段階目の下穴あけ。穴あけは、深さの3/1が3mmΦ、1/3が3.5mmΦ、残りが4mmΦにしました。これはチューニングピンがテーパ状になっている
ためです。 |
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修正完了。 |
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余談ですが、これが粗悪21コード変換キットのすりあわせ苦労の跡です。参考まで。 |
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コードバーからフェルトをカッターではがし、オリジナルのフェルトを再使用するために長さ別に並べました。 |
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コードバーのコードに対応した弦の位置をマジックで実物合わせしながら目印します。 |
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弦の位置を目印に、ミュート用フェルトの長さがわかるようにします。 |
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狭い弦間にちょうど合う再使用フェルトを貼り付け、1本完了。 ・フェルトのはぎ取りが雑だったため、フェルト高さが微妙に異なる。 |
これはある程度予想していましたが、やっぱりかぁ、という感じです。しかし今のままで変形が止まるかは不明。
・中低音不足高音側は複弦の効果がでて独特の味のある音が得られた。しかし、特に低音がならなくなったよう。これは、張力によって低音を響かせられる余裕がなくなったためではないかと想像。
・ピッキング感の変化当然ですが、弾いた時の右手の感触がまるで変わりました。ちょうど、12弦ギターを弾いた時の左手のよう。