オートハープついての検討

項目 説明
トップ オートハープのトップは単板(ソリッド)の場合、5mm程度の厚みがあります。
「MAKING MASTER GUITARS」によると、クラシックギターのトップの厚みは2.5mm程度でした。
 http://tinyurl.com/2ohtkw
オートハープはギターよりもトップの面積が狭いのに厚いのですが、これはトップが弦の張力に対する構造材としての役目を持つ必要があるためと考えられます。
また、Aモデルの場合はナットとブリッジ部分からの押さえつけられる力に対する強さも必要です。
オートハープは通常ギター6本分の36本の弦を有するので、実際、かなりの張力がかかっています。
厚さ+張力でオートハープの音に対するトップの寄与はほとんどないように思えます。
確かにギターほどではないですが、オートハープでも材によって音が異なります。
自分のメインハープはkoto−kotoハープですが、製作を依頼する際に音の比較をさせてもらいました。
一つはトップが屋久杉のLonesomeMoonlight。もう一つは蝦夷松(?)。
 http://members2.jcom.home.ne.jp/koto2harp/index.html/
両者はサイズだけではなくブレイシングも同じとのことでしたが、出てくる音は異なっており、屋久杉は高音がうるさくなく低音が豊
かで明確、蝦夷松(?)は高音がシャリシャリして低音が明るい感じでした。
自分はメロディピッキング志向ですので低音が豊かな屋久杉を選択したという次第です。
タッピング&ボトルネック 当たり前ですが、タッピングといっても螺子類のことではなく、ボトルネックといっても進捗管理のことではありません。
どちらも奏法のことです。
「The Autoharp Owner's Manual」では、ハーモニクスに関しては如何になくすかということについての言及のみあったと思います。
逆に自分はハーモニクスを曲に使ったりしています。
同様にタッピング(といっても弦をたたいて鳴らすのではなく本体をたたいて方リズム音を出す方)とボトルネックの応用についても適用すべく試してみました。
<タッピング>
フィンガーピックでチューニングピンの頭を叩きます。
「カツッ」という小気味のよい音がしますので演奏にうまく使えば奏法になりそうです。
<ボトルネック>
当然のごとくフレットレスの効果を期待して試行してみたのですが、結果はNG。
ギターのように音が持続しません。理由は張力や弦長などが考えられます。ボトル自体の重量も関係あるのかもしれません。
コードバー以外のフェルト装着 オーシーハープなどを見ると、ナットとチューニングピンとの間、ブリッジとエンドピンとの間にフェルトをかましているのに気が付きます。
これは見てわかるように、それらの間の部分が共振して余計な音が鳴るのを防止するためについています。
たしか「The Autoharp Owner's Manual」に記事が掲載されていたと思ったのですが、今見たら見つけられませんでした。
もしかするとAQ(AutoharpQuarterly)に載っていたのかもしれません。
最近、ギターでも似たようなことをしている人が見つけたので報告いたします。9分9秒あたりです。
 http://www.youtube.com/watch?v=-o2XKFfTMH0
自分はこのフェルトの効果に対して懐疑的だったのですが、少なくともギターに関しては効果があることがわかりました。
(ただし、マイケルヘッジスがはじめたスタイルでの話しです)
ただ、まだオートハープでの効果に関してはまだちょっと懐疑的なのです。
理由はミューとしている部分の長さと弦の張力の強さから、共振音はほとんどないのではないかと思うからです。
72弦(複弦)オートハープ 72弦オートハープは、以前、改造製作したことがあります。
 http://autoharp.me/ILrscS72
結果的にはボディ歪みによるトップの変形が生じ、音的にも期待したコーラス的効果よりも張力による「詰まり」感が大きいということになりました。
ただ、少なからず複弦の効果を期待できる感じも持てました。
72弦オートハープのより良い実現には張力に対応できる強固な構造が必要と考えられますが、音的に良い結果をもたらすかについては疑問の余地があります。
自分は今まで張力に対応する構造について考えてきたのですが、視点を変えると張力を減らすという方法があることに気が付きました。
#今さら…
eBayなどに出品されている古いオートハープやその親戚を見ても自分の知る限り弦は全て金属製でした。
現在も金属以外の弦を張っているオートハープを見たことがありません。
なぜ金属製なのでしょうか?
一つの理由はオートハープが発明された時期(高々110年程度前) には既に金属弦が存在していたことが挙げられると思います。
もう一つの理由は音量を得るために金属弦である必要があったのではないかということ。
ついでに言うと、オートハープは多弦であるが故の矛盾を抱えています。
それは、音量や早いレスポンスを得るためにはボディ(特にトップ) が軽いことが必要ですが、軽さは張力に対する脆弱性と音の持続性の減少を招くということです。
ということで思い至ったのが弦の非金属化です。
ヒントはクラシックギターにあるように思えます。
この次に72弦オートハープを作る際(いつだろ??)には非金属弦
で行ってみようと考えています。
リゾネータ リゾネータといえばバンジョーやドブロなど。しかし、オートハープの親戚の「ギタロー」にもリゾネータを有するものがあります。
オートハープは演奏者へ伝わる響きが非常に心地良く、弾いている側と聞いている側とで音の差異が大きな楽器の一つだと思われます。
ここでちょっと考えると、気持ちよさというのは音響エネルギーが体に吸収されているということになりますよね。
この音響エネルギーを全面に向かって放出できれば音への寄与が期待できそうです。
そこで、リゾネータ。
ギタローのようにリゾネータを装着するとどうなるか実験確認してみたいと思いました。
#まだ思っただけ…
また、マンドリンには以下のような製品があります。
これを使っている方はおられますでしょうか?
使ってらしたら、是非ともその感想を教えていただきたいです。
(グリスマン等もユーザーというのは本当かなぁー)
 http://www.elderly.com/accessories/items/TGM1.htm
この「TONE-GARD」のオートハープ版はリゾネータよりも製作が簡単かもしれません。
そのうち自作してみたいと思います。
ちなみに「オートコード」では、トップとサイドブロックとの間に隙間が開いています。これはトップの振動をし易くするのとボディ内の音を外に出す両方の効果があると考えられます。
 http://www.minehara.com/musikit/library/images/autoc1_1.jpg

オートハープの弦と音の関係に関しては、弦自体の選択肢が少ないせいかほとんど言及されていないようです。
ギターに関しては以下のようなとってもとっても濃いサイトがあり、弦の計算尺もあるというから驚きです。
 http://www.crane.gr.jp/
 http://www.crane.gr.jp/CRANE_Strings/index.html
ギターに関しては弾きやすさを左右する要素として、材質/張力/弦高/フレット/フレットボード/弦の巻き取り方等、多種なものについて議論されています。
オートハープの場合には主にコードバー(アクション等)やフェルトとの関係が良く知られているものですが、右手側に関係する要素についての言及はほとんど見かけません。
具体的には、弦の張力の差を狭めることによって弾きやすさが向上するかもしれません。
また、巻き弦として銀色のものがありました(自分のOSについていた)が、フォスファーは見たことがありません。
エリクサーのような弦はオートハープにはどうなんでしょうか?
考え出すと尽きないです。
参考までに、ずいぶん昔に¥10000以上をはたいて購入したクロマハープ弦をOSに装着したらとても音が悪くて元に戻した経験があります。
オーシー等の巻き弦はOSなどに比べてしっかり太いです。
ちなみに、知りたいことはOSよりかなり高いダダリオのオートハープ弦の音はどうかということだったりします。
楽器の個性 演奏者同様、同じ種類の楽器であっても特にアコースティック系の楽器では個体差(個性)があるのは皆さんご存知のとおりです。
オートハープの場合、OSに代表されるストリングガイドポスト&ストリングアンカー方式とオーシーに代表されるナット&ブリッジ方式とには顕著な差があります。
また、同じナット&ブリッジ方式でもトップ等の材(単板:合板、比重、木の種類等)によっても音の特徴が異なります。
楽器の持つ音の特徴をある程度客観的に把握する方法はいくつも考えられますが、「楽器の物理学」や「目で見る楽器の音-By FFT analysis」に記載されている方法があります。
「The Autoharp Owner's Manual」には楽器が良く響きにあわせて弦のチューニングを変えることが書かれていました。
しかし、サウンドホールの変更等による調整に関しては記事がなかったと思います。
楽器の持つ特性に合わせて弦を変えることも良い音を出すための方法と考えられますが、弦の選択方法等は不明です。
同一楽器での弦の交換やサウンドホールの調整等による楽器のチューンナップ効果はそれほど大きくないかもしれません(ピッキング方法を改善する方が手っ取り早く簡単)。
しかし、自分の楽器の周波数特性を知っていると、キーを選ぶ際の目安になるかもしれませんね。
タンデムバー&ウルトラトニック 前から気になっていた「ultratonic」ハープに関してcybersMLで質問してみました。
ウルトラトニックオートハープは、「The Autoharp Owner's Manual」に詳説があります。
また、専門的に記述したものやワークショップもあります。
 http://www.thedulcimerlady.com/marketplace.htm#Ultratonic
具体的には普通(?)のオートハープにはないようなAsus4等の和音が出るようにコードバーを作成したり弦をチューニングしたものを示すようです。
「Jazz-style」オートハープもウルトラトニックオートハープの一種類に含まれているとのこと。
購入したときにはないコードを作成するのは特に珍しいことではありませんが、これらのオートハープでの特筆すべき点は複数のコードバーの同時押下で別のコードを鳴らせることです。
具体的には、A7コードバーとAsus4コードバーの同時押下でAを鳴らすこと等です。(オートハープは「引き算」基本動作ですね) この概念は「tandem bar」と呼ばれることをはじめて知りました。
ただし、残念ながら演奏動画に関しての情報は得られていません。
関連した用語には、「Floating pentatonic」、「Ultrachromatic」、「Diapentic」、「Diachromic」等があるとのことです。
留意点はこれらの方法は和音奏法を主な目的としていることで、複数キーの同時押下を必要とする速い曲のメロディックな演奏は困難であろうことです。
自分としては、正直、普及タイプの構成から離れることに抵抗感があり、現状特筆すべきメリットも感じないことからこれらの方法を導入する予定はありません。
ただし、以下の方のようなケースではほぼ必然的に「ultratonic」となると思われます。
 http://www.crane.gr.jp/~tassi/
 http://tassi.livedoor.biz/archives/50222792.html

↑関連情報(u)